「柔」と「機械」をつなぐ〜techika / 乙女電芸部 矢島佳澄さん
大盛況のうちに終了した、モノづくりの祭典、「MakerFaireTokyo2015」。ハンズラボメンバーも参加していた本イベントに出展していた「乙女電芸部」の部長、矢島さん。ASCII.jpの大谷イビサ様にご紹介いただいて、本ブログに登場です!
矢島さんが取り組む「乙女電芸部」とはいったいどんな活動をしているのか、4月に会社も立ち上げ、輝きを放つ矢島さんの創り出す世界とはどんなものなのか—?
合同会社techika 代表 矢島佳澄さん
矢島さんと出会った印象は、ほわんとした、可愛らしさを持った女性。 最初にお会いしたときも、その後取材で伺ったときにも、その印象は変わらなかった。 私が待ち合わせ場所に行くと、机には色と素材がさまざまな作品が丁寧に並べられていた。
合同会社techikaでの顔
合同会社techika(テチカ)の代表を務める矢島さん。 「柔らかいものに機械を埋め込むのが得意」というその技術を活かし、 アーティストとのコラボレーションや、電気メーカーからの依頼でプロトタイプを製作するなど、活躍の幅を広げている。
Panasonicとのコラボレーション
乙女電芸部の考えるメイカーズ時代のリモコン _techika HP
ケーブル技術ショー2014へ出展_パナソニック プレスリリース
高校は普通科だったという矢島さんだが、 なぜ今の仕事にたどり着いたのか。その道のりにあるのが、大学時代に始めた乙女電芸部である。
電子工作の先へ—学生時代
高校は普通科で、大学では環境情報学部に入り、電子工作やプログラミングを学んだ。 Xデザインを専攻し、インタラクション(対話型操作)デザイン、 関係性を変えるものやシステムをデザインすることを研究したという。 そこで「人と人の関係」「人とモノの関係」「モノとモノの関係」について考えるようになった。 しかし、再現性や有用性などが必要な研究の世界では、本当に欲しいものの実現だけをやっていくことは難しい。 欲望をかなえる道具として、かわいいアクセサリーにセンサーをつけた。「そういうものに技術を使ってもいいじゃん!」という研究への対抗や反抗心があった、と矢島さんは語る。
もう一つの顔—乙女電芸部の立ち上げ
DIYグループである乙女電芸部は、そんな大学時代の同志たちと立ち上げた。 「光らせるのは誰でもできる。可愛らしく、生活に役立つようにしたい」と語る。 各地でワークショップを開催しており、「MakerFaireTokyo」へも毎年出展している。
乙女電芸部HP
なでなで帽は、かぶると中の機械が動き、頭をなでられているような感覚を得ることができる。「なでなでされたい」という思いは当時の教授にはなかなか共感されなかったという一幕も。(男性と女性の違い?)
会社の立ち上げと、これから
今年4月に合同会社techikaを立ちあげてからは、techikaと乙女電芸部、両輪での活動が始まった。 多忙であろう矢島さんの目は、疲れを見せず、まっすぐ先を見据えている。
乙女電芸部部長としては、「SENSORS IGNITION2015」にて”ギーク女優”池澤あやかさんと一緒にシャツのポケットをハックした作品「ポケットがなくっちゃはじまらないっ!」と題して出張展示した。
また、合同会社techika代表としては、伊勢丹新宿店の幼児教育プロジェクト「cocoiku(ココイク)」にて、手芸と電子工作を子どもたちに教えている。
cocoiku http://www.cocoiku-isetan.com/
大学時代にもさまざまな実験に取り組み、カップ麺を口につけると水分が反応して光るという技も。これまで紹介したものは衣服やアクセサリーなどに関連した作品が多いが、矢島さんの見ている世界はもっと広い!
(80年代生まれである著者は、この映像を見たときに「小学校で経験した理科の実験も、こんな世界だったらなぁ」と思いを馳せた…)
「柔らかいものに、機械を埋め込む」—。 矢島さんが得意なそれは、ご本人の印象そのものとも重なる。 柔和なイメージの笑顔の中に存在する、強い意志、行動力。 彼女がこれから見せていく世界は、いったいどんなものなのか。 これからも矢島さんの活動に注目していきたい。