新連載!世界一周ビジネスの素 vol.1
突然ですが、旅するwebマーケッター、西井敏恭さんにコラムを連載いただくことになりました!
昨年末に日本を発ち、トルコを経てキリマンジャロに登頂した西井さん。
世界各地の様々な「モノの売り方」を題材にビジネスを考える新連載です。
第2回も近日公開予定ですので、お楽しみに!
vol.1 タンザニア長距離バスの車内販売
アフリカのキリマンジャロの麓の町モシというところにきています。
トルコから10時間ほど飛行機で移動して、そのまま首都のダルエスサラームからバスに乗ってさらに10時間。途中の待ち時間も含めて全部で24時間の大移動でした。
アフリカに限った話ではないのですが、バスで移動している途中で、たくさんの物売りがやってきます。
バスで途中の休憩所やそれこそ信号待ちしている瞬間に窓の外側から売り子がたくさん押し寄せてきて、
「ビスケットはいらない?」
「オレンジはいらない?」
と声をかけてきます。
日本でいえば高速バスで東京から大阪まで移動しているときに立ち寄った
トイレ休憩のサービスエリアで、
「ミカン3キロいらないか?」と窓の外から声をかけられてるイメージです。
・・・・こんな時に今食べるビスケットならともかく、
まとめていっぱいのオレンジなんて買うか!!
と思っていたら、それがまた売れる売れる。10人くらいがオレンジ3キロくらいの梱包を買っていく。
なんで売れるのか、ちょっと考えてみました。
そもそもそのオレンジはおそらく途中で立ち寄った場所の名産品なんですよね。
日本もサービスエリアで名産品が売れている。日本の場合は自分で立ち寄らなければいけないけど、
タンザニアでは売り子がやってきて窓の外から手を伸ばせば買えるようになっている。
これは便利かもしれませんし、確かに売れてもいいかもしれない。
と、思ったら今度は移動中に車内に乗り込んできた売り子が
そこでジャパネットさんのテレビ通販さながら、歯ブラシ、
ボディウォッシュ、シャンプーなどを説明しながら販売している。
いやいや、バスの中で歯ブラシなんか売れるかよ!
と思っていたら、これがまた売れる。。。。
これも理由を考えてみた。
そもそも、公務員の平均月収が8000円ほどのタンザニアにとって、
海外の歯ブラシ1本100円や石鹸100円などは、日本でいえば3000円ほどの価値だと思うので、
あまり一般的に使われているものではない。
ただし、タンザニアのダルエスサラーム(首都)からモシ、アルーシャという地方都市への移動で
バスを使っている人は基本的に平均月収が高い人が多い。
そして、何よりもバスの中というのは暇なんですよね。
だから移動中に誰かが話しているとついつい聞いてしまいます。
※もちろん、私には何を言ってるかわかりませんが。
バス車内というのは所得が高い人をターゲットにできて、さらに説明を聞いてもらえる環境にある。
ほしい人が買ってるんだろうな、と。これ以上のいい販売場所はないのかもしれません。
さて、日本に置き換えた時、どうだろうか?
高速道路のサービスエリアはすでにしっかりとした産業施設として成り立っている。
反面、我々が(特に首都圏周辺在住者)よく使っている電車。
電車の中で山手線など一部の電車では車内広告がたくさん出ているが、
動画を使ったサービスはまだ少ない。
もっとスクリーンを増やしてみてはどうか。
現在の電車内での動画広告はまだまだ少ない。
理由として、
・設置エリアが少ない
・音声がないにも関わらず専用の動画ではなく、CMなどで使っている動画が中心
⇒結果としてあまり売れない
という事が考えられる。
でも、本当はもっと動画を見られるエリアを増やせば、
電車内では暇だし、目に留まるはずである。
設置エリアが少ないので専用動画を作るコストが見合わないが、
場所が増えて効果がでれば各企業が専用動画を作り、
効果も増えてくると考えられないだろうか。
渋谷なら渋谷の名店が。移動中ならテレビ通販でやっているような
説明商品の動画があれば、「見られなくなった」と言われるテレビCMよりも
視聴されないだろうか??
移動時間がもったいない。
あまり関係ないかもしれないが、
以前一か月日本を旅行したというポーランド人が、
「日本の電車は静まり返っていてみんなスマートフォンを見ていてびっくりした」
と言っていた。
電車の中でのひたすら待っている時間を
楽しい時間に演出できると面白いかもしれません。